nakaQがはじめてThereminの演奏を聴いた曲はThe Beach Boysの'Good Vibrations'ですが、あの完全にポルタメントで滑らかにピッチアップ&ダウンする不思議な音は一体なんだろう、なんて思ったものです。楽器に手を触れないで、空間上の両手の位置でピッチとボリュームをコントロールする演奏スタイルはまさに独特のもので、演奏するのはとても難しいようです。
やの雪さんはそんなTheremin奏者の一人で、このアルバムはクラシック曲の何かの楽器の代わりとかにとどまらない、コンテンポラリーな曲でのThereminの可能性を認識させる、すばらしい作品に仕上がっています。
冒頭の'ソング・フォー・デス'はまさにそんな曲で、古楽器を使用した枯れた演奏をバックに女声と聞き間違うようなThereminのソロが展開されます。音域による個性付けもすばらしく、ソプラノとアルトで、別々の声を持ったシンガーを表現するかのような演奏になっています。
声域による声色の変化で別々のキャラクターを表現するというと、Kate Bushをイメージする方がおられると思いますが、何曲かでやの雪さんがVocalも担当しており、その声なり表現がKate Bushにとてもよく似ています。'クリスタル・ファーム'など、曲調も中近東的ですし、呪術的な雰囲気があるところなど、Kate Bushの"The Dreaming"を思わせます。
'ロータス'ではDeath Techno的な演奏を聴かせ、'歌劇カヴァレリア・ルスティカーナ間奏曲より'では多重録音により「合唱」効果を表現したりと、まさにThereminの可能性を再認識させる意欲的な演奏が続きますが、Theremin曲では定番の'白鳥'もハープをバックに美しく歌うTheremin演奏が収録されていて、これもたまらない魅力を放っています。
nakaQ評価:★★★★
アイムーン

曲目リスト
1. ソング・フォー・デス
2. アトランティス
3. クリスタル・ファーム
4. ラウダ
5. 聖母マリアのカンティガ集より
6. アヴェ・マリア
7. 白鳥
8. 歌劇カヴァレリア・ルスティカーナ間奏曲より
9. ブラウエ・ブルーメ
10. モルダヴァイト・レイン
11. ロータス
12. オデュッセリア







