"Let It Be"は、それぞれの心がばらばらになってしまったメンバーに、出発点に戻ることでもう一度やり直そう、ということでPaulが企画したものの失敗に終わり、メンバーも見向きもしなくなった"Get Back"セッションでのレコーディング音源を、Phil Spectorが職人技でなんとか発表できる作品に仕上げたアルバムでしたが、The Beatlesの作品としてはやはり生気に欠けるというか、違和感のある作品でした。
この"Let It Be...Naked"はエフェクト類を極力排除し、オリジナル音源でのThe Beatlesの演奏がいかにすばらしかったかを再認識させる作品に仕上がっています。
冒頭'Get Back'は、"Let It Be"での演奏と、聴いた印象は大きく違わないのですが、最後が突然終わるのであっけにとられた気分になります。これまで聴いてきた演奏は、"Let It Be"に収録されていたバージョンは最後に話し声が入り、シングルカットバージョンはいったん演奏が止まって、再度演奏が開始し、フェイドアウトする演奏でしたので、こんなに突然止まるといささか戸惑ってしまいます。これがオリジナル演奏なのでしょうが。
'Let It Be'や'The Long And Winding Road'の名曲については、Phil Spectorの職人芸が光り、いずれも素晴らしい演奏に仕上がっていますので、Paulが'The Long And Winding Road'にストリングスを入れるのは嫌だ、と言ったところでPhil Spectorの功績は認めないわけにはいかないでしょう。このアルバムではむしろこれらのヒット曲でない、"Let It Be"ではほとんど退屈でしかなかったロックンロールナンバーの数々が、文字通りむき出しになって、圧倒的な迫力で聴けることが最大の収穫です。
たとえば'For You Blue'は"Let It Be"ではエフェクト過剰でもわっとした音場感でしたが、このアルバムでは見違えるほどくっきりした音になっています。演奏自体はたしかに同じなのですが、スライドギターの切れ味など、いい演奏をしていたんだということを再認識させられます。
'Dig A Pony'も、確かに演奏は同じなのですが、"Let It Be"ではつまらなく聴こえた曲がこんなに荒々しく生き生きとした演奏だったことがわかります。このあたり、いわゆる"Get Back"セッションはこれまで言われていたほど失敗ではなく、実は結構実りのあったプロジェクトだったのではないかという気がします。やはりThe Beatlesは60年代に生き、60年代とともに終わる運命だったバンドで、"Get Back"から"Let It Be"「そのままにしておけ」というタイトル変更が奇しくも全てを物語っているように思います。
nakaQ評価:★★★★
The Beatles "Let It Be... Naked" [Bonus Disc]
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曲目リスト
1. Get Back
2. Dig A Pony
3. For You Blue
4. The Long And Winding Road
5. Two Of Us
6. I've Got A Feeling
7. One After 909
8. Don't Let Me Down
9. I Me Mine
10. Across The Universe
11. Let It Be


