2006年02月03日

Kate Bush "Never For Ever" (1980)

Kate Bushにとって3作目にあたる本作の邦題は「魔物語」で、何が魔物かというとジャケットの怪物たちがKateのスカートから出てきていることからわかるように、Kateの子宮に潜むもの、です。あるいは、「女性であることそのもの」と言ってもよいかと思います。

Kateはライナーノーツに「私はずっとこんな風にアルバムを作りたいと思っていました。辛抱強く、理解して働いてくれたみんなに感謝します」と述べていますが、"The Kick Inside""Lionheart"と誰かにプロディースされた状態であわただしくアルバムを制作したKateにとって、初めてJon Kellyと共同で自らじっくりプロデュースしたのがこの作品です。内容的にも、当然ながら、前2作に比べKate自身の音楽性がダイレクトに反映された素晴らしいアルバムに仕上がっています。

1曲目の'Babooshka'に始まり、魔物というよりは寓話的な内容の曲が並びますが、曲のよさは当然のことながら、サウンド的にも過不足のないKateの音楽世界が展開されます。Fairlightをいち早く導入しているのも特筆されます。Kateの声も、デビュー時のぶりぶりさが若干後退し、最もこの人らしい美しい声で歌っていると思います。

このアルバムでは、美しいアカペラの'Night Scented Stock'から'Army Dreamers'への展開が大好きです。戦死した少年を愛しむ歌詞は悲しいですが、非常に淡々と、美しく演奏されます。

nakaQのベストトラックは'Breathing'です。「核戦争でプルトニウムが皆の肺できらめいて、私のレーダーは危険だといっているけれども、本能は吸い続けろと言う」「私のお母さんを、私の愛する人を、私のお母さんのニコチンを吐いて・吸って・吐いて・吸って・・・」と歌うこの曲は、人間の業といったものと、前曲の'Army Dreamer'とも共通する反戦というテーマを扱っていて、このアルバムが発表された1980年と比べ戦争の危機がより身近なものになっている現在、Kateのメッセージがよりダイレクトに届きます。

nakaQ評価:★★★★★

Kate Bush "Never for Ever"(♪一部試聴可)
Never for Ever


曲目リスト

1.Babooshka
2.Delius (Song of Summer)
3.Blow Away (For Bill)
4.All We Ever Look For
5.Egypt
6.Wedding List
7.Violin
8.Infant Kiss
9.Night Scented Stock
10.Army Dreamers
11.Breathing

Kate Bush - Never for EverUK試聴できます
posted by nakaQ at 00:11| Comment(0) | TrackBack(0) | Rock&Pop | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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