2009年01月11日

Herbie Hancock "Head Hunters" (1973)

Cross Overの金字塔

このアルバムを最初に聴いたのはリアルタイムではなかったのですがそれほど遅れてもいなくて、1980年くらいかと思うのですが、その頃はなんと音の悪い、陳腐な作品だ、なんて思ったものです。80年代初頭というとFusionもまだ流行っていたのですが、Chick CoreaはロックなReturn To Foreverを休止し、ビッグバンド形態に移行していた時期ですので、ファンククロスオーバーなこの作品がとても陳腐に聴こえたのだと思います。

それ以来、現在までこの作品は聴いていなかったのですが、先日図書館から借りて聴いて音のよさにびっくり。冒頭"Chameleon"のテーマを奏でるMini Moogの音のぶっとさに驚きました。他にも、随所でエレクトリックキーボード類が多用されているのですが、いずれもとてもよい音を出しています。Remasterの効果かもしれません、あるいはどんな音を「よい音」と感じるかという自分なりの基準が80年代当時と変わったのかもしれませんが、とにかくこのサウンドはElectronicな音楽としての録音のよさは特筆されるべきと思います。

音楽としても、たとえば"Future Shock"では非常に尖鋭的なMaterialによるバックトラックに対し、Herbieがキーボードを弾き始めたとたんに陳腐な印象を醸したりしていたのですが、この作品ではファンクなバックに乗って非常に自由かつ大胆な演奏を展開しており、Herbieとしても等身大の表現として納得のいく作品だったのではないかと思います。最初のシンセサイザソロの最後の部分でピッチベンドを半音くらい上げて調子っぱずれなメロディーを奏で、元に戻してああ納得、という箇所にこの作品でのHerbieの冒険と、それが見事に結晶した成果を端的にみることができる、とnakaQは勝手に思っています。

'Watermelon Man'の冒頭の印象的な笛の音はジャケットからアフリカの音楽かと思っていたのですが、バリ島の音楽を収録したCDにほぼ同じ演奏が入っていました。この曲ではBennie Maupinによるサックスが大活躍しており、Herbieのキーボードは控えめなのですが、それでもフィルイン的に叫びをあげるシンセサイザは結構強烈です。

どんな音楽でも定型化してしまうと面白くもなんともなくなってしまうものですが、この作品はまだまだ無限の可能性を秘めていたクロスオーバー音楽初期の金字塔として記憶されるべき作品です。

nakaQ評価:★★★★★

Herbie Hancock "Head Hunters"
Headhunters

曲目リスト

1. Chameleon
2. Watermelon Man
3. Sly
4. Vein Melter
posted by nakaQ at 15:51| Comment(0) | TrackBack(0) | Jazz&Fusion | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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